食べごろ撮りごろ

料理カメラマンの美味しい写真の話。

食材物語

わさびは水と光の贈り物。ピリリと辛い緑のキセキ!

投稿日:2020年3月10日 更新日:


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言わずも知れた静岡名産の水わさび、めでたく2018年(H30)3月に「世界農業遺産」になりました。

静岡の生産量(根茎)は、堂々の全国1位。※農林水産省「平成29年特用林産基礎資料」より

今日は、そんな最高の水わさびを7代にわたって育てている小澤達彦さんを訪ねて、JA静岡しづはた営農経済センターの武田一希さん、宇佐美侑子さんのお二人と、葵区平野のわさび田に出発!

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天気は上々。冬晴れの澄んだ青空とまっすぐな道。(写真はどうしても車内と空の明るさが違うので白くなってしまうが、実際はもっともっと青い空を想像してほしい)
武田さんの安全運転で20分ほど走ると・・・

 

お、お !!!

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緑と青コントラストがそこに
そして、笑顔でたたずむ大柄な人。この人が小澤達彦さんだ。

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さっそく3人で記念撮影。左から小澤さん、宇佐美さん、武田さん。後ろに立っているのに大きい。

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下に目をやると、湧き水がひたひたと流れ、せせらぎのようにキラキラ光っている。

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アートな模様の葉と、それとは対照的なかわいい白い花。

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よく見ると、花茎のあちこちから変わった形の茎がたくさん伸びている。

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さっそく小澤さんに尋ねてみると、先端のところが、わさびの種が入ったさやで、5月葉初めごろにこれを採取し、種を採るとのこと。

わさびは、全国で栽培されているが、環境や栽培方法が様々なので大手メーカーは供給しておらず、自分たちで種を採るしかない状況らしい。

小澤さんが社長を務める「ユートレマ株式会社」では、自社で種から苗を育て、わさび農家に供給している。

※農業生産法人 ユートレマ株式会社
〒421-2307
静岡県静岡市葵区横山743-1     TEL   090 – 3253 -7408

わさびの生育に適した水温は13°C前後で、静岡では「畳石式」といって、地層の下層から上層へ向けて大中小の石を順に積み上げ、わさび田を上から順々に水が下ってゆくことで水温が安定し、不純物をろ過しながら、栄養や酸素がわさびに運ばれる栽培方法が主流らしい。

豊富な湧水と適度な傾斜の斜面という、恵まれた自然環境が「畳石式」の栽培方法を可能としている。

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そうこうしているうちに、小澤さんがわさび田に入り、4~5本のわさびを素早く抜いたかと思うと、滔々と湧水が注ぎ込まれているケースで泥を丁寧に洗い落とし始めた。

そして、使い込んだナイフで、葉と葉柄、花軸、根茎を切り分けてゆく。

一本のわさびを仕上げるのに、1分とかからない。

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やさしい緑の見事な「わさび」をご覧あれ!!



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小澤さんから武田さんに声がかかる。

「やってみるかい?」

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ついつい言ってしまいそう。「仕事忘れてませんか ? 」 (笑)

私も、素晴らしいわさびと、キラキラのわさび田を前にして、写欲がムラムラ。

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これぞ、ワサビの競演!

実は、世界農業遺産に登録されたわさび作りだが、生産者さんにとって傾斜地での作業はかなり体力のいる作業であり、このような多層構造のわさび田を保全してゆくには、後継者の育成と技術の伝承が不可欠となっている。

「静岡市わさび共販委員会」委員長である小澤さんの言葉からは、わさび作りが、世界遺産の和食を支える大切な食材づくりであることと、日本を代表する生産地静岡の責任と誇りを感じた。
今度、本わさで刺身を食べる時は、わさび田の美しい風景を思い出しながらいただくとしよう。もちろん静岡の地酒も添えて。(^_^)

-食材物語

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