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食材物語

由比桜えび漁|漁師たちの思いを乗せて本日出港!

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2020年11月1日、待ちに待った桜えびの秋漁が始まった。
それから数日経った11月6日、私は念願の乗船に心を躍らせながら由比港に向かった。
今日は上々のお天気とあり、港で出港を待つ船も白く輝いている。

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出港時間が近づくにつれ、船のエンジン音が港に鳴り響き、漁師さんたちの動きが早くなる。
網の点検にも余念がない。

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そして、いよいよ出港!
数十隻の船が、太陽が山に沈もうとする中、次々と港を出てゆく。

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私も桜えび漁業組合長である実石正則さんの船に乗船させていただいて、由比港を後にする。

後ろを振り向くと晩秋の富士が美しい!



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昨年はこのところの深刻な不漁を受けて、資源保護の観点から一年間漁を自粛した。漁師さんたちもさぞかしもどかしい思いをされたことだろう。

今日の漁場は焼津沖とのこと、船が進むにつれて日が暮れてゆく。

船上から見る夕焼けは、波しぶきが黄金に輝いてなんとも言えない美しさだ。

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港を出て、漁場に着いたのは1時間半後の5時。魚群探知機で網を入れる場所を慎重に探る。

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他の漁船のライトが海の上に散らばって見える。

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いよいよ網入れの合図だ!

桜えび漁は、漁場に着くともう一艘の船に網の片方が渡され、しばらく並走して引いたあと、再び一方の船に網が戻され、少しづつ巻いてゆく。

かなり巻き上げたあと、再びもう一艘の船に網を渡し、船を近寄せて両側で力を合わせて引き上げてゆく。

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少しづつ引き上げる網の中が見えてくる。

まさに期待と不安の瞬間だ!

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桜えびに交じって、「しらが」と呼ばれる太刀魚の子供や小魚が網の中で舞う。

浮かび上がるしらがを素早くすくって、網の中から取り除いてゆく。

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ある程度除いたあと、もう一艘の船に備え付けてある大きなバキュームの管を網の中に入れて、一気に桜えびを吸い上げる。

するとまもなく管がつながった機械の口から勢いよく桜えびがあふれ出す。
それを次々と箱に入れて、いっぱいになったら素早く次の箱と交換するという寸法だ。

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船の上には次々と桜えびの入った箱が増えてゆく。

カモメたちもお相伴にあずかろうと、船の周りに集まってくる。

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だが、それで終わりではない。

箱の中には、まだとりきれなかった小魚や「しらが」が残っているので、それを一箱づつ手作業で取り除いてゆくのだ。

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そうしてピンクに輝く海の宝石たちが見事に整えられてゆく。

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美しい~!!!

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こうして漁が終わり、再び船は港へと向かう。時間は7時。漁を始めてから2時間が経っている。

港へ向かう船の上では、一つ一つ丁寧に海水をホースでくみ上げ清掃が行われている。次の漁に備えるためだろう。

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1時間~1時間半後、続々と港に船が着き、船からベルトコンベアーで今日獲れたばかりの桜えびが続々と市場に運び込まれ、冷蔵庫へと保管されてゆく。

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私にとって初めての桜えび漁乗船は、かけがえのない体験になった。

不漁続きの中、資源保護と生活の安定という難しいバランスに自制心を持って取り組んでおられる漁師さんや漁業関係者の方々に頭が下がる思いだ。

日本でここでしか獲れない海の宝石が、これからも私たちの食卓を楽しませてくれることを心より願う。

実石さん、今日は作業される皆さんの足手まといになったと思いますが、快く乗船させていただきありがとうございました。<m(__)m>

日本一の富士をバックに、河川敷に広がる桜えびの天日干し風景が、これからもずっと続きますように。

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(写真は2017年11月撮影)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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