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食材物語

底力を見た!黄金色に輝くカミアカリを育てた真の立役者とは?

投稿日:2019年9月8日 更新日:


5月末に植えたカミアカリが、7月の日照不足にも負けず、太陽の光を受けて黄金色に輝いている。
今日は待ちに待った刈り取りの日だ!

19_09_06_001カミアカリ刈取り

稲たちは7月最も盛んに光合成をしながら根を伸ばし、身体を大きくしてゆく。

ところが今年の7月は例年にない日照不足が続いた。十分な光がないと株が育ちきらないため、一株につく穂の量が減ってしまう。

しかしそんな逆境にもかかわらず、松下さんのカミアカリは、例年どおりの美しい稲穂を今年も風にそよがせている。

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足元に目をやると、よそではあまり見ない土の表情に気付く。

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なんだ、これは・・・?

 

松下さんがひび割れた土の1枚をそっとはがす。
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すると6~7ミリの土がすっと外れ、さらにもう1枚3.5~4センチの土もごそっと地面からはがれる。

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おおっーー!! これぞまさに、松下稲作の真骨頂だ!

田植えの時、松下さんが言った言葉を思い出す。

「『表層耕起』の苗代づくりでできたフワトロ層は、雑草の種より軽いため、種を上からおおって光と酸素の両方を遮断します。そうすることでどんな雑草も発芽できない完璧な抑草が可能になるんです。」

そうだったんだ!!

この6~7ミリの土の層こそが、有機農法で光が必要なコナギと、酸素が必要なヒエの両方を完璧に封じ込める魔法のベールであり、その下3.5~4センチまでが耕された土の層、そしてその下にはトラクターのツメが入っていない層がそのまま残っていたという訳だ。

稲刈りのために水が抜かれ、表面が乾燥してひび割れることで、この3層構造がはっきり現れた。

 

松下さんの著書「ロジカルな田んぼ」で書かれているとおり、『表層耕起』は、地表付近の空気が好きな「好気正菌」と、地中深くの空気が苦手な「嫌気正菌」の2層構造を壊すことなく、投入した有機肥料をカミアカリの栄養となる無機物へと見事に生まれ変わらせる立役者となりえたのである。

完璧な抑草とカミアカリの栄養づくりを一挙に成し遂げる『表層耕起』は、まさにカミワザと呼ぶにふさわしい。

 

ついつい興奮して長くなってしまったが、コンバインを田んぼに入れる前にコーナーを回りやすくするため、手刈りを行う。
どれだけ刈れば、機械がスムーズにコーナーを回れるか、まさに経験値の作業だろう。

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手慣れたハンドリングでコンバインを田んぼに入れたあとは、周りからどんどん中心へと稲を刈ってゆく。

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ある程度刈り取りが進んだ時、コンバインを道路に横づけしてあるトラックに寄せ、たまった籾を大きな容器にいっきに流し込む。

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陽ざしを浴びた横顔は、ついついシャッターを押したくなる。(^_^)

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大きな容器にどんどんカミアカリの籾がたまってゆく様子は実に爽快でこちらもうれしくなる。

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この籾たちが立派なカミアカリの新米となってアンコメさん(安東米店)の店頭に並ぶ日が待ちどおしい。
瞬く間に一枚の田んぼを刈り終え、コンバインを外に出したあと、松下さんが必ずやることがある。

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そう、道に落ちたわずかな土も、丁寧にスコップで田んぼに戻してゆくのだ!

松下さんがいつも言うこと。それは、

「どれだけの微生物が長い時間をかけてこの土をつくってくれているかを考えるとね。」

 

米作りは土づくり。

 

何年たっても、何十年たっても変わらない大切なことだと気付かされ、頭が下がる。

松下さんの田んぼでは、山田錦も間もなく刈り取りの時期を迎える。そのタイミングはとてもシビアで、ベストの状態から少しでも遅れると米粒の水分が徐々に失われ、乾燥時の「胴割れ」の原因になる。

天候と米の状態を細かく見極めながら気の抜けない日々が続くのに松下さんを見ていると楽しくて仕方がないといった様子で、だからいい米ができるんだと妙に納得してしまう。
台風15号が今週末静岡に上陸しそうとのこと、早く過ぎ去ってと願うばかりだ。

そんな心配をよそに、田んぼの脇ではノウゼンカツラの花がオレンジも鮮やかに揺れていた。

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