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日本酒

静岡日本酒探訪!萩錦酒造の朝

投稿日:2019年12月9日 更新日:


11月下旬、朝6時、まだあたりは日の出前とあって薄暗い。今日は吟醸王国静岡の優等生とも言える「萩錦」の生みの親、萩錦酒造さんで、蒸米(むしまい)と仕込みの様子を見せてもらえるというので楽しみだ。

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蔵に着くと、冬の寒空に屋根から湯気が薄くなったり、濃くなったり、ゆらゆらと立ちのぼっている。いつまで見ていても飽きない。

蔵の脇ではまだ落ちないで頑張っている柿を、百舌がしきりについばんでいる。

酒蔵の中に入ると、大きな釜にすっぽり布がかけられ、そこからもうもうと白い蒸気が立ち登っている。

屋根から立ち登る湯気の正体はコレだったのか!
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それにしてもデカい。直径が2m以上ありそうだ。

これは甑(こしき)と呼ばれ、蒸米(むしまい)という言葉からもわかるように、酒米を炊くのではなく、大きなせいろで蒸すらしい。

ちなみに、日本酒は、これだけの工程をたどって造られるとのこと。

こんなにあるのか!

①精米
②洗米
③浸漬(しんせき)
④蒸米(むしまい)
⑤製麹(せいきく)
⑥酒母(しゅぼ)造り
⑦仕込み
⑧醪(もろみ)造り
⑨上槽(じょうそう)
➉ 滓引き(おりびき)・濾過(ろか)
⑪火入れ
⑫貯蔵
⑬加水(かすい)
⑭瓶詰め
⑮火入れ
⑯出荷

日本酒造りは、本当に想像もつかない多くの手間と、科学的なデータ分析、そして自然が織りなす生き物のドラマが統合された芸術だとあらためて感じる。


蒸米の作業で大切なのは、次の⑤製麹(せいきく)に最も適した「高温低湿状態」の蒸米をつくることらしい。
蒸気で蒸しているのに低湿にするというのは少し想像がつきにくい。

具体的には⑤の工程で麹菌が繁殖しやすいよう、蒸米の外側を硬く、内側は柔らかく溶けやすい状態にもってゆく作業で、「外硬内柔」(がいこうないなん)が理想の状態と言われているらしい。

それと、蒸米のもう一つの目的は、酒米を蒸すことでコメの殺菌効果を高めることにあるとのこと。後工程の安全対策にもなっているんだ。

慎重に状態をチェックしながら蒸された蒸米は、蒸し上がるとすぐさま木桶に入れていくつものバットに移され、広げたり返したりしながら、温度と湿度を最適な状態に人の手で調整される。熱くないんだろうか?
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理想的な外硬内柔の状態。
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甑(こしき)の中は、白布によって何層かに仕切られ、それぞれ酒米の種類と目的で、⑤製麹(せいきく)にまわすもの、⑧醪(もろみ)造りに使用するものなどに分けられていて、作業が終わると素早く蔵の中へ運ばれてゆく。

私も靴を履き替え、消毒液を浸み込ませたマットを踏んで蔵の中に入らせてもらうと、いきなりあの萩錦のなんとも言えない華やかな吟醸香が飛び込んできた。
この香りをブログで伝えられないのが残念。(^^;

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醪(もろみ)の入ったタンクに、先程の蒸米をどどっと入れ込む。

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櫂棒(かいぼう)で丁寧に拡散しながら、この作業を何回か繰り返す。
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数日かけて、この作業を3回行うのが「三段仕込み」と呼ばれる作業だ。

醪(もろみ)の中では、麹菌がデンプンを糖(とう)に変える糖化と、酵母が糖(とう)をアルコールに変えるアルコール発酵が同時に進んでいる。

ワインやビールの製造工程には無い、日本酒造り独特の「並行複発酵」が、まさにタンクの中で繰り広げられているのだ。

酒造りの全責任を負う杜氏(とうじ)の萩原郁子(いくこ)さんは、醪(もろみ)の味や表面の泡の状態を細かくチェックし、何度も成分分析を繰り返しながら、目指す酒質になるよう全神経を注いで作業にあたられるとのこと。

これこそが、日本が世界に誇る酒造りの真骨頂だ!

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やっと作業が一段落したと思ったら、すでに外では今日使った白布や桶、櫂棒など、すべての道具の洗い作業が始まっていた。
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朝日を浴びる草間さんの笑顔がすがすがしい!

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あたりはすっかり明るくなって、冬の青空も覗いている。
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あの華やかで端麗な味わいの萩錦は、この蔵で生まれ、家族の愛情と豊かな静岡の水に育まれ、今日もすくすく育ってるんだよね。
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萩原さんご家族 (左から綾乃(あやの)さん、郁子(いくこ)さん、知令(とものり)さん) 、そして山梨から応援に来られている草間麻子(くさまあさこ)さん、今日一日お世話になりました。

今夜の酒は、萩錦の純米吟醸で決まり!(^_^)

★萩錦酒造株式会社 Facebook
https://www.facebook.com/haginishikishuzo/?ref=page_internal

★萩錦酒造株式会社 (静岡県酒造組合サイト)
http://www.shizuoka-sake.jp/report/cent/haginishiki_data.html

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